ソフトバンクショップに現れたウザイ客


未来への投資

ここは某ソフトバンクショップ。

黒いタートルネックにジーンズの中年男が入ってきた。

店員:「いらっしゃいませ」

客:「iPhoneフォー・スティーブを予約したいんだけど」

店員:「はっ?」

客:「iPhoneフォースティーブ。」

店員:「そ、そのような製品はございませんが。。。。」

その客は勝ち誇ったように店員に詰め寄った。

客:「わっはっは、やはり知らないのか。今度発売されるiPhone4Sの4Sとはフォー・スティーブの意味なんだよ。スティーブは知っているよねもちろん。本当に残念だった。彼が亡くなってから数日、私はなにもやる気が起きないんだ。べらべらべらべらべらべらべらべら」

店員:「あ、あのー。iPhone4Sをご予約でしょうか?」

客:「当然だよ。iPhone5がすぐに出るって噂もあるがそんなもん関係ない。なんといっても4Sはフォースティーブだ。一生モン。俺はこの機種を家宝にするよ。スティーブがいなくなったらこの先、アップルから革新的な製品が出続けるとは限らんからな。ティム・クック?彼はダメだね。優秀な経営者かもしれんがビジョナリーではない。ビジョナリーと経営者は根本的に違うんだ。こないだのプレゼンも見たけどやっぱりダメだね。ワクワク感がない。もうアップルは駄目だな。」

店員:「あ、あのーiPhoneとは違う機種をお探しでしょうか?」

客:「バカモン、そんな訳はないだろう。俺は「アップルII」以来、アップル製品以外は使ったことがないんだ。当時はマックも高かったよ。はっきり言って同じ値段で車が変えたよ。その後スティーブがアップルを追われた後も俺はアップルを見捨てずに使い続けた。ニュートン知ってるか?はっきり言って使えなかったがまあアップルファンとしてはコレクションとして買わないわけにはいかなかった。でも我慢したおかげでやがてスティーブがアップルに復帰。それからの快進撃はどうだ。アップルは遂に世界一の企業にまで成長した。最高潮のときに静かに去る。いかにもスティーブらしいじゃないか。」

店員:「あのすみませんお客樣、後がつかえておりますので。」

客:「32Gと64Gで迷ってるんだ。」

店員:「あ、やっぱりiPhone4Sですね(ほっ)。月々の負担額はこうなります。2年契約されますよね」

客:「バカモン、2年先のことなんか考えるもんか。俺は毎日、今日がもし人生最後の日だとしたら、今やろうとしている事が本当にやりたいことかを自分に問いかけている。そしてそうでない日が何日も続けば何かを変えなくてはいけない。これはスティーブがスタンフォード大の卒業式のスピーチで言った名言だよ。」

(しばし沈黙)

店員:「では一括購入でしょうか?32Gタイプですと5万7千円になります」

客:「高いな。やっぱり2年契約にしてくれ。」

店員:「では、この書類にお名前を署名してください。」

客:「スティーブ・山田」(署名)

店員:「あの、お客樣。身分証明書ではお名前が、山田一郎樣となっていますが。。。」

客:「それは本籍の名前。俺の産みの母がつけた名前だ。今の俺の名前はスティーブなんだ。そう、ジョブズも生まれてすぐ養子に出された。彼の母は高校しか出ておらず父は高校さえ卒業していなかった。生みの母親は養子縁組へのサインを拒んだけど、今の両親が将来大学に行かせると約束したので、生みの母親もさすがに最後には折れたんだ。その17年後、」

店員:「お、お客様。お体は大丈夫でしょうか」

客:「なんだと。俺が狂っているとでもいうのか。うむ、たしかにそうかもしれんな。俺はきっとクレイジーだ。しかし世間の誰も俺を無視することは出来ない。世の中を変えると本気で信じている人間が、実際に世の中を変えているんだから。

そういって客は、手持ちのiPhoneで動画を見せる。

店員:「よく分かりました(さっぱり分かりません)。それではこの書類をお持ち帰りください。商品が入荷したらご連絡いたしますので。ありがとうございました。」

客:「ワンモアシング」

店員:「次にお待ちのお客様、どうぞ」

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店員:「はぁ、疲れた。」

ショップの店長:「なんか大変な客だったみたいだな」

店員:「店長、ここ数日あのようなお客様がたくさんいらっしゃるんですが・・・」

ショップの店長:「まあ仕方ないだろう。こんな時期だし。」

店員:「しばらくこんなことが続くんでしょうか。私とても耐えられません。」

ショップの店長:「そういわず我慢して頑張るんだ。君が今していることはきっと将来何かに繋がる。今からいい話をしてあげよう。時間はとらせない、たった3つの話だ。最初の話は点と点をつなぐという話だ。アップルの創業者スティーブ・ジョブズは大学を中退して、うろついていたとき、たまたまカリグラフィ(西洋書道)の授業を受けてね、」

※この話はもちろんフィクションです(笑)